結婚披露合宿の日記
■6月19日(土) 快晴
●1.合宿所まで
 早朝、下関から参加の浦部君の赤いスカイラインに、うちから持っていくギター、Zo−3(アンプ内臓エレキギター)、カシオトーン、ミキサー、ブルーシート、まな板、プリンタ、スーツを載せ、浦部君を見送る。浦部君は大阪在住の参加者芳ちゃんを茨木駅で拾って、一路東京の合宿所へ向かった。我々夫妻は8時過ぎの新幹線で新横浜へ。浦部君の車に積み忘れた食器類と、背中に背負ったPowerBookが重い。新大阪→新横浜→八王子→立川→拝島と電車を乗り継ぎ集合場所である武蔵増戸駅に到着。
 集合時間まで30分あるが、恭子さんの高校の図書委員仲間(以下西高図書委員)であるトミーが既に来ていて、木陰に座っていた。初対面なのでご挨拶。その後、車で池野君が、次の電車で服部君、大崎君、寺沢君が来る。今回ライブをしてくれる手塚堅ちゃんと小塚君も車で合流。池野君、浦部君、大崎君が大学関係、手塚堅ちゃんは高校、小塚君は高校も大学も一緒、寺沢君は茨城県の結城東中学の同窓、服部君は会社の同期と、早くもお互いの顔も名前も知らないメンバーが揃って、始めはいちいち紹介していたが、切りがないのと、誰がどこと知り合いなのかもうすぐに分からなくなり、「とりあえず、みんな友達」と教育テレビ的にその場を収める。というか、もともとこうなることは百も承知での企画であり、これから火を起こしてご飯をつくったりする作業のうちにだんだん仲良くなれるだけのポテンシャルは十分持った参加者たちなので、まるで心配していない。
 予定では13時に駅前で集まり、そのままぞろぞろと30人くらいでキャンプ場まで行進するつもりだったが、今回ミュージカルをしてくれる高校時代の通学仲間相馬君と奥さんのヒロイさん、相馬君のお兄さんのあきらさん、あきらさんの奥さんのミエシカさん、高校の同期で相馬君と同じ演劇部員だった荒川君永澤君、相馬君の大学のゼミが同じだった吉沼君と奥さんの彩子さん、荒川君の演劇関係の友達で、新郎新婦とは会ったこともないのに面白そうだからと今回合宿に参加してくれるはせさんは、準備とリハのためにすでにキャンプ場入りしており、わりと遅刻者も多そうなので、これ以上駅で待っていてもしょうがないと、恭子さんを駅前に残し、他の参加者と僕はとりあえず何台かある車でキャンプ場まで移動。以前下見で来た時は徒歩だったので気付かなかったが、キャンプ場入り口を示す看板は車では発見不可能なほど小さく、一度通り越し、引き返して通り越し、三度目にやっと突き止める。これは初めての人には絶対分からないと、キャンプ場入り口で立ちんぼしてお出迎え。今回ずっとビデオを回して記録を残してくれる吉沼君は、「夫婦が二人揃って歩いて来て、キャンプ場の看板を見上げた後、二人で顔を見合わせ、「よし」とうなずきあいキャンプ場へと入っていく絵」を撮りたがっていた。吉沼君はこのあともことあるごとに演出を付けたがる始末。
 ほどなく西高図書委員の岩ちゃん、ゲティも到着。ゲティさんには今回部屋の飾付けを担当して頂くので、何度か打ち合わせのメールをやりとりしたり、先日個展を見にいったりしていたので、初対面でも初対面な気がしなかったが、いちおう「初めまして」とご挨拶。大学ロボコンの後輩裕子ちゃん、西高図書委員の靖子さんと良子さんは先着しており、早くもうちとけて準備をしている。ロボコンの先輩たまさんもくす玉づくりに没頭。ミュージカルのリハーサルはまだ続いており、あとのお楽しみになるべく見てはいけないと思ったものの、聴こえて来る音と並べてある機材をぱっと見ただけでただ事ではすまない予感。明石から参加のロボコン仲間英治君、みかみ、みかみの妹で先月の披露宴および今回披露合宿で新婦が着るウェディングドレスを作ってくれたマリコさん(余談だが、マリコさんはこのドレスの写真を見せて服飾デザイナーの職をついこないだ射止めた。おめでとう)、みかみの友人を集めた「えん」という会で知り合った藤井君、古谷さんも合流。あとは遅刻組だということなので、荒川(ヤス)君、靖子さんのヤスヤスコンビによる受付開始。今回皆様にはご祝儀代わりに参加費とてるてる坊主を作って来てもらった。梅雨時ということもありはっきりいって心配事はただ天気ひとつだったのだが、どうだといわんばかりの快晴。風もない。てるてる坊主効果としかいいようがない。天も祝福してくれている。
●2.準備
 受付をすませたあと、あらかじめ分けてあった「料理隊」「かまど隊」「飾付け隊」のメンバーに分かれ、それぞれの準備。知らない顔がいきなり集まって作業なんて大丈夫かと思う向きもあるだろうが、しかるべき準備と、みんなの前向きな協力を引き出す雰囲気があれば絶対平気という確信があったので(それがないとこんな企画できない。この自信の背景には、大学時代にみかみを中心として企画し、全国のロボコン野郎100人で催した「からくりフェスティバル」の経験がある)、簡単に自己紹介だけしたあと、とにかく作業に没頭してもらう。自分はキャンプの経験が学校の宿泊学習程度にしかないので、キャンプ機材も含めそこは下館ボーイスカウトのあきらさん、ミエシカさんや、ボーイスカウト経験者で今回かまど隊長の服部君に全面的におんぶにだっこ。何も手を出さなくても、みんなが作業を通じて少しずつ打ち解けていくのが分かる。
 作業途中に浦部君、芳ちゃんが車で到着。結城東中の山崎君、「えん」で知り合った杉ちゃん、西高図書委員の奈良君、谷口君とあかねさん夫妻も来て、いよいよパーティーは膨れ上がる。写真が好きな英治君はみんなの作業風景を隠し撮りしている。ビデオを回す吉沼君は相変わらず演出を付けたがる。かまど隊の永澤君は掘った穴をまた埋めるロシアの囚人のようなことをしている。本来みんなを仕切ることが苦手な恭子さんも料理隊長として餃子づくりに没頭(あとで、「やがて餃子の材料も私もみんなも溶け合ってひとつになっていくようだった」と悟った仏教僧のようなことを言っていた)。
 僕はただみんなの様子を見て回り、足りないものを調達しに駆け回る。ミエシカさんに「ウエヤマ君、雑用?」と言われる。漫画家の卵の杉ちゃんは、この披露合宿のために漫画を描いて来てくれており、前日1時間しか眠らなかったもののこの時点でまだ完成していなかったので、別室に籠りカンヅメ状態で執筆続行。ゲティ隊長の飾付け隊はひたすら雑草を刈り造花を束ねている。ゲティ隊長のいいなりに、律儀に刈ってきた草を洗う相馬君。スガシカオのようなサングラスをつけた初対面の奈良君も面白いひとで(全然知らなかったが彼も埼玉大学生。後述のタカピの後輩だった)、あっという間に打ち解けてカレーを煮込んでくれている。影の軍団の忍者のように走る影があったので見れば、今回来ることになっていなかったロボコン後輩の渋谷君と佑ちゃんだった。誰にも知らせずゲリラ参加するはずだったのに最初に新郎に見つかってしまっていた。そんなこんなの全面協力で料理(恭子さんの水餃子、ミエシカさん特製ベジカリーと浅漬け、あきらさん特製ごはん)と部屋の飾付けも無事完成し、新郎新婦は正装(恭子さんは、マリコさんの作った例のウェディングドレスに、裕子ちゃんのくれたブーケ、頭には自分で作った造花のガーベラをあしらった月桂冠。僕は普通の礼服に白いネクタイ。ワイシャツには相変わらずアイロンをかけていない)に着替え、宴の始まりを待つのだった。
●3.披露宴
 みかみの司会で披露宴開宴。みんなの拍手の中、河原へと続く階段を(確信犯的に靴を忘れたので、ポール・マッカートニーの様に)裸足で降りていく新郎新婦。横でキャンプをしていた別の団体さんも祝福の拍手を贈ってくれている。本当にうれしい時間。大崎君の開会宣言のあと、みんなで階段に並び英治君のカメラで集合写真の記念撮影。カメラを構える英治君の後ろの川には得体の知れない妖怪が浮かんでいたが、「志村、うしろ!」と相馬君が叫んで、英治君が振り向くと、妖怪は消えていた。その後、山崎君の挨拶で乾杯!さすがにドレスを屋外で汚せないので着替え直していよいよ食事。スパイスの効いたベジカリーを食べながら手塚堅ちゃんのライブが始まる。
 堅ちゃんは高校の同級生で、今は塾講をしながらシンガーソングライターとして頑張っている本格派。こっちの方がいい音がする、と僕のギターを使ってくれての弾き語り、「誰かが結婚したら歌おうと思ってつくった」という「愛しい人」他全4曲(音源はこちら)。さすがの上手さにみんな聴き惚れている。あきらさんとミエシカさんが後ろでジェンベ(太鼓)を叩いている。居ても立ってもいられなくなり4曲目は打楽器で参加。楽しい。
 堅ちゃんライブのあと、奈良君、谷口君から祝辞を頂き、川で冷やしてあったスイカの入刀式。夫婦として初めての共同作業となります、となるとこだったが、スイカの皮は思った以上に硬く、二人で包丁を持つと転がって上手く切れないので、結局恭子さんがスイカを切り、新郎は横でカメラにピースサイン。渋谷君、佑ちゃんからも祝辞を頂き、いよいよミュージカル「歌謡喜劇 駅前乾杯 byヤス荒川とマダムハニームーンバンド」が始まる。
 ミエシカさん(ヴォーカル)あきらさん(ベースその他)の「シカバンド」と吉沼君(ギター)彩子さん(打楽器)相馬君の奥さんのヒロイさん(打楽器)が演奏を、元ダンス部で、踊ることが好きでしょうがないたまさんが踊り、曲間には現在宮沢章夫さんのもとで演出助手として頑張っている相馬君が書き下ろしたコントが入る。相馬君演じる「キョウコ」と荒川君演じる「ヒデオ」が永澤君演じる「ドラえもん」とともに(というかこのドラえもんは全く駄目なので移動はほとんど自力なのだが)、世界各地を新婚旅行し、はせさんの演じる現地人からいろいろなものを買っていく。日本、ロシア、フランス、トルコ、中国、ハワイ、ペルーと世界各国の音楽をカバー、オリジナルを織り交ぜ演奏していくバンド。ミエシカさんの声はとてもここちがいい。ほぼぶっつけ本番だというたまさんの踊りもとても堂に入っていて気持ちがいい。体を動かすのが好きだというのが伝わって来る。普段は知的な佇まいなのに狂ったように太鼓を叩く彩子さん。白眉は永澤君の演じるドラえもん。まったく素の人間のままのドラえもんから次々と垂れ流されるボケに笑いっぱなしである。ロシアでは帽子を、フランスでパンを、トルコで髭を、中国で文庫本「毛沢東の私生活(上)(下)」を、ハワイでレイを、日本で刀を、ペルーでチョッキをと、靖子さんと裕子ちゃんにされるがままに次々と衣装を着せられていく新郎新婦二人。観客も次々と演奏に狩り出される。荒川君が出て来てまじめに前口上を述べた後、長渕の「乾杯」を高らかに独唱。相馬君の演出的にはこれもボケなのだが、あらためて「乾杯」は名曲で、思わず合唱する新郎の横で新婦は号泣していた。最後の「それゆけサルの俺」でボルテージはクライマックスに達する。夢のような時間。この合宿のためにこれだけのものを創作、準備、練習してきてくれて、本当にわれわれ夫婦は幸せ者である。
 ミュージカルで盛り上がった流れを利用してこの日のために作った合宿主題歌「ヒトとネコ」の合唱。はっきりいって前出の2組に比べて圧倒的に素人であるが、勢いでギターを弾き、歌う。酔っていたし、緊張していたのでみんながどれだけ歌ってくれていたのかよく分からなかったが、あきらさんのベース、事前にアップされていた曲を聴いて歌詞を覚えハモリまで考えて来てくれた藤井君、打楽器隊のバックアップで本当に気持ち良く歌うことができた。これだけの人の前でギターを弾き歌うのは初めてだったのだが、麻薬のような快感とは多分このことだ。この夜、キャンプファイヤーの火と、照明の明かりに照らされたみんなの歌声は、確かに伊奈キャンプ村の果てない夜空を覆っていった。
●4.二次会
 キャンプファイヤーの残り火で荒川君寄贈の花火をしたあと、飾付け隊の飾り付けてくれたバンガローに戻る。ヒロイさんは準備の途中に脚をくじいていたらしく、病院に連れていくために奥さんを背負ってひとり河原からキャンプ場入り口までの長い階段を登る相馬君。応援するまわりのみんな。頂上はもう少しだ。
 おもちゃ会社に勤める大崎君の持って来たプラレールが走り回る部屋には、みんなのてるてる坊主を始め、ゲティの絵、岩ちゃんの絵、マリコさんの作ったウェディングドレス、みかみの作品らが造花と草とリボンとともにいっぱいに飾られている。飾付け隊長ゲティの乾杯の挨拶で、たまさんが作ったくす玉が割れ(くす玉には「結婚披露合宿も新婚生活もまだまだ続くよ」の文字)華々しく二次会が始まる。
 今回主賓として招いていたが、結局仕事でどうしても来られなくなったロボコンの先輩杉さん(前述の漫画家杉ちゃんとは別人です)とテレビ電話でご挨拶。電話はNTTに勤める芳ちゃんのものを使ったが、芳ちゃんもあまり使ったことがないというそのテレビ電話機能は、声がほとんど聞こえないのだった。まあ、シェイプこそ丸みを帯びたものの相も変わらぬ杉さんの笑顔に安心。恵比寿で行われていたビール祭りにスタッフとして参加していた、ロボコン仲間のタカピはここから合流。タカピが持って来たビールは(どこ産だったか失念)ほんのり蜂蜜の様な甘みがあって美味かった。たまさんの要求もありもう一度合宿主題歌を合唱。はずかしいんだよほんとは。吉沼君の持って来た歌本でギターを弾き「結婚しようよ」や「ひょっこりひょうたん島」や「とんぼ」や「なごり雪」や「あの素晴らしい愛をもう一度」やらを合唱。もうただの健全な山小屋のおっさん状態。ちなみに僕のギターは完全なローコードのじゃかじゃか弾きしか芸風がないがこういう時はそれで十分だ。
 たまさんが踊り、ミエシカさんも踊り、トミーは三糸(三味線?)を弾き、あきらさんはベースを、吉沼君はギターを弾く。盆踊りを踊るたまさん。踊るものがなくなるとなぜかラジオ体操を踊り出す人々。第2の途中で力つきる。靖子さんと良子さんから、穴あきおたまとまな板たて、壁掛け時計とビールサーバーを貰う。服部君からは服部君の好きなジャズバンド「MIZZ」のCDを貰う。あとはもうあとはあまり覚えていないが、岩ちゃんと焼酎を呑みながらなんやかや話す。資本主義によるお金の損得という一次元だけでものをとらえて、それを究極まで突き詰めても結局は絶対に幸せにはなれない(ということを中沢新一が人間の脳みその構造的に証明したと僕が思っている)ので、もっと自分が本当に気持ちがいいかとか、清々しい気分になるか、とかいろんな評価軸を増やしていくことが大事だとか、そんな話をまたしてしまった。まったく最近はお酒が入るとこんな説教みたいな話ばっかりしてしまう。もっと人の話を訊かなければいけない。反省。2時過ぎ、さすがに眠くなってきたのでまだ話し込む人たちに失礼して就寝。別室では杉ちゃんが藤井君、古谷さんのアシストを受け、漫画の追い込みに入っていた。
■6月20日(日) 晴れ
●5.朝
 翌朝、小鳥のさえずりと誰かの携帯のベル音で6時過ぎに目が覚める。杉ちゃんは漫画をついに書き上げ、漫画隊はセブンイレブンでコピーしてきた原稿を折り、製本作業に入っている。まだ眠たがっている人たちをでんでん太鼓で起こし回り、8時から朝食づくり。前日の残りのごはんで作るおにぎり。正月に恭子さんの山形の実家からいただいて、その時ものすごく美味しかったので、今回山形のおばさんからわざわざ贈って頂いたそば。荒川君が突然つくりたいと言い出し、前日に材料を買っておいた焼きそばと、(今回風邪をひいて欠席となったが)管理栄養士をしている新婦の妹よしこさんが聞いたら顔をしかめそうな、やけに炭水化物過多の献立。あとは、前日の残りの水餃子の、もう皮がくっついて破れかぶれなので開き直ってワンタンと肉団子の中華スープにしたものとカレーと浅漬けの残り。鉄板を借りていなかったので仕方なく鍋で作った焼きそばがやけに美味い。山形のそばはちょっと火力が弱かったこともあり、正月に食べた程のインパクトは出せなかったのが無念。
 もう、みんなぐだぐだに疲れているのがありありと分かるのだが、最後の力を振り絞り撤収作業。多くの機材を持って何度も階段を登り降りする人々。最後まで不平ひとついわず作業してくれたみんなに本当に感謝。そして閉会式。ぎりぎりまで片付けに追われ、何も考えていなかったという恭子さんから感謝のあいさつ。岩ちゃんから「うちに帰るまでが結婚披露合宿です」とありがたい訓示をいただき閉会。おっと、すっかり忘れていたと、あわてて行ったブーケトス。男女問わずに独り者がわらわらと立ち並ぶ中、恭子さんが天高く放り投げたブーケは、(大方の予想どおり)ほぼ真上に上がり、誰もうけとれぬままにどさりと地面に落ちていた。気を取り直してやり直した2回目は見事芳ちゃんがキャッチ。芳ちゃんに幸あれ。でも、一度地面に落ちてるからなあ。効果ないかもなあ。その後杉ちゃんから一人ずつに漫画「それゆけ☆結婚披露合宿」(2コマに1回落ちがあるやけにテンションの高い4コマ漫画。昨夜の出来事も即興で漫画にしてあり、文字どおり渾身の一冊。凄すぎる)が配られ、総参加者38人の結婚披露合宿は大成功で幕を閉じることが出来た。
 早く帰る必要のある人たちが少しずつ帰っていく。少しずつ寂しくなっていく。だらだらできる人はだらだらしている。朝から酒を呑んでいる吉沼君は煙草を吸いながら、ビールを呑みながら川にぷかぷかと浮かんでは、ずっと下流まで流されていた。好き放題だ。みかみが回してくれたロボコンの人達の寄せ書きと、今回の参加者たちの寄せ書きを貰う。全4枚組。本当に気持ちのいい脱力感の中、やっと2時過ぎに重い腰を上げ、台風が迫っているのかやけにいろんな形の雲が空を彩るキャンプ場をあとにした。
●6.帰宅
 最後まで残った相馬君、あきらさん、ミエシカさん、永澤君、荒川君、みかみとで、近くのつるつる温泉というところで一風呂浴び、永澤君に八王子駅まで送ってもらう。新幹線で大阪へ帰り11時過ぎに家に着く。家のPCには筆まめな岩ちゃんからさっそくメールが届いていた。

上山英夫様 恭子様

無事、家に帰りました。
シャワーも浴び、夕食も終り、一息ついています。
腕と首が軽く日に焼けたようです。
ほんのりとチリチリを感じます。
身体の内側に、静かに疲れが流れています。
それはとても心地よい感覚です。
ふだん日常的に感じるような、
ため息と諦めの混じった、
鉛のように鈍い疲れではなく、
澄み切った、山の空気のような透明な疲れです。

じわじわと、押し寄せてくるものがあります。
ひとつのことが終わった直後には、どっと高波のように
押し寄せる高鳴りがあります。
けれどそれが終わってからしばらく時間が経ち、
納まるべきものが納まりつつあるとき、
不意に、ではなくあらかじめ用意されていたかのような
周到さで、じわじわと地を這うように感じるものがあります。

結婚披露合宿、お疲れさまでした。
そして、参加させていただき、本当にありがとうございました。
まだ、言葉にできません。
圧倒的な二日間でした。
奇跡的な時間でした。
青空。暑い日差し。山の夕暮れ。川が流れ水が砕ける音。
闇につつまれた森。足裏に感じる河原の石のかたさ。丸み。
そこでおこなわれ、眼にした全てが、
まるで感動的な映画のシーンのように、鮮烈に刻み込まれました。
でも、それは映画ではなく、現実のことだったのですね。
そしてそれは不意に用意されたものではなく、
多くの人のやさしさと周到な計画と用意、
いっちょやってみっかという心意気、
それらが積み重なったものなのですね。
人はここまでできるのかという驚きと嬉しさを、受け止めました。

今の思いを言葉にするのは本当に難しくて、
それなのに無理に書こうとするから変な文章になってしまっていることを
十分感じながらこれを書いています。
もっとシンプルに書きたい、素直に書きたい、そう思います。
だから、そんなふうに書きます。



正装に身を包んだ英夫さん。

ドレスをまとった恭子先輩。

階段からゆっくりと降りるお二人の姿は、

まぶしいほどに、とても美しかったです。



じわじわと、ゆっくりと、透明な疲れとともに、
身体の中を行ったり来たりする不思議な、
そしてあたたかい何かを感じています。
また少し見当外れなことを書きますが、
この二日間は、
僕にとって新たなスタートの日々となりそうです。
僕は何かから別れ、そして何かにこんにちはと声をかけた、
そんなふうに思うのです。
小難しいことを書きました。
とてもとても楽しい二日間でした。
これでいいのですよね。
気持ちが落ち着いたら、
そのときに改めて御礼を書きたいと思います。

本当に、ほんとうに、ありがとうございました。


岩丸 拓生

 本当にこの合宿をやって良かったと思った。こちらこそ、ありがとう。

 伊奈キャンプ村の景色。天気は最高。(photo Nagasawa)


 かまど隊の人たち。(photo Yuko)


 ご飯を炊く永澤君。(photo Yuko)


 川で遊ぶ人たち。(photo Yuko)


 カレーをつくる。(photo Osaki)


 新郎新婦の出待ちをする人々。(photo Yuko)


 「まだかなあ」(photo Osaki)


 出番を待つ間踊る新婦。(photo Ueyama)


 新郎新婦登場。(photo H.Soma)


 西高の人たちと。谷口君はハリー・ポッターに似ている。(photo Gan-Chan)


 手塚堅ちゃんライブ。この機材の揃い方は何なのだ。(photo Gan-Chan)


 ミュージカル。トルコの歌姫と舞姫(photo Osaki)


 キョウコさんとドラえもん。(photo Osaki)


 上山ヒゲ夫。(photo Osaki)


 「乾杯」を熱唱する、ヤス長渕。(photo Osaki)


 主題歌を歌わんとする上山。世界各地を旅行して凄い格好になっている。(photo Osaki)


 キャンプファイヤーの残り火で花火。(photo Hattori)


 くす玉割れた。(photo Osaki)


 川につかる吉沼君1。(photo Hattori)


 川につかる吉沼君2。(photo Ueyama)


 高々と舞い上がるブーケ。怪しい踊りではない。(photo miesica)


 さよなら、伊奈キャンプ村。(photo Nagasawa)