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「0 1/2計画」「不思議の国とアリス」 「1 1/2計画」「ほんとうにおいしいごはんとおかずのおみせをつくろう。」 スペインへ行きたい!
Diary(h)
■12月30日(土)
昨日はいよいよ年賀状を作る。なんかイノシシでいい映像が思いつかなかったので来年のうちの年賀はあのキャラクターです。今年の我が家のMVPです。
今日はこれから関東に帰って、岩ちゃんのうちに行きます。明日は恒例の山形へ行って年越し。2日に関東に戻り、3日は上山方の親戚廻り、5日はロボコン関係、6日は前の職場関係の新年会で7日か8日に大阪戻ります。そんな感じ。新年試食会はありません。
では今年もありがとうございました。来年も、健康第一で、よろしくお願いいたします。
■12月20日(水)
職場の若手達と忘年会。僕より年上がいないので普段は飲まない焼酎をロックで2杯も飲んで、気持ちよくしゃべって来た。今、夜中、何か失礼なことをだいぶ言ったような気がして微妙に後悔しているのと、頭が痛くて眠れないのでこれを書く。
先週、衛星放送で噂のチェルフィッチュ「三月の5日間」を放送していたので、ビデオに録って観る。ああ、これが噂のリアル会話とノイズ増幅でしたか。今、戦争を知らない、血を流したことも無い僕らが、それでも「反戦」なんだということを、リアルに、チープにならずに届ける、絶妙な手法を見た。そして、8割のヒトが認めた価値のものしか作らせてもらえない我が冷蔵庫作りの横で、おそらくあまり多くのヒトには見てもらえない(なかった)だろう表現が横浜でコツコツと積み上げられていたということに僕は多大なる安堵を覚えた。太宰を読んだときのような気分。同じ気分で我が敬愛なるみうらじゅん先生の「じゅんの恩返し」と、本になっている「三月の5日間」を購入。みうらじゅんの本はトイレに持ってこいだなあ。
多くのブログで指摘されているようにチェルフィッチュ語(?)は移りやすいというのがあるのですが、僕は毎食牛乳を飲んで、それは別に今更背を伸ばしたいからというわけでもなく、あ、でも毎日カルシウムを摂ることで温厚な自分を作りたいというのはどこかにあるのだけれど、まあ、その僕しか飲まない牛乳の、そのご飯を食べ終わった後の飲みかけの牛乳パックを冷蔵庫にしまうというのが、妻の家事の負担を少しでも減らそうと妻が考えた最近のルールなのだけれど、その、ご飯を食べ終わって牛乳パックを冷蔵庫にしまうときに、「あ、じゃあいまから牛乳パックを冷蔵庫にしまうっていうのをやります」と言うのがマイブーム。あと、意識の流れが脱線して行く文章を書くときに、たとえば前回の浦和レッズのポンテとポンテ結城の話とかの、その脱線を()括弧で括らなくてもいいんだというのも収穫。「三月の5日間」は声に出して読むと凄く面白い。役者になった気分になる。
恭子さんが弟子入りしているイーハで聴いたアン・サリーが凄く良くて、早速購入し聴いてばかりいる。これはなんらトリッキーな「そうでない」手法は採ってないけど、そういうのも、また、凄くいいんだなあ。

シリーズ 今日のチクワマン。正確には昨日の、いま、日付を越えているのでもっと正確には一昨日の朝ですが。チクワマンは一輪挿しなので、こうして恭子さんが拾って来たなんだか分からない枝や実が刺さっています。まさに精霊。
■12月2日(土)
朝、そこそこ晴れていたのでふとんを干してから散歩に出掛ける。市役所前の公園で恭子さんがドングリを拾う横で、ベンチに座って宮沢さんの本を読む。おしりが冷えて来たので移動。近所の本屋で「八つ墓村」を購入。昨日のハヤシ君の話の余熱もあって「過剰なる大団円」を読み返したくなったので。恭子さんが弟子入りしているイーハに今日はお客として行き、恭子さんの仕込んだベジタブルカレーを食べる。ふと外を見ると雨が。みるみる激しくなって来たのでコーヒーは飲まずに、前々から気になっていた雑貨の(イーハは数々の雑貨も売っています。三位一体モデルでいうと、ママさんが「父」、お客さんが「子」、雑貨や植物が「精霊」)「チクワマン」を購入して走って帰る。ふとんは燦々たる状態。「ふとんを干したまま出掛けてはいけない」という教訓を今さら思い知る。

今期無敗のホームで2点差以内の負けなら優勝というなんともセーフティな状況で迎えた最終戦。ガンバが2点取るまではガンバを応援するというなんともこころもとない姿勢でのエールを大阪から浦和にほそぼそと送っていたのだが(これは昨日話し込んでいてふと気付いたのだけれど、僕の本質は「バランスを取りたがる」ことだと思う)、ガンバ幡土マグノの神懸かりプレーで1点が入ったあと浦和ポンテ(ちなみに昔茨城県にいたとき近くにポンテ結城というでかいショッピングモールがあって、ポンテといえばポンテ結城のおもちゃ屋や本屋やいなかのやけにでかい駐車場という映像が浮かぶ)が抜け出したときには思わず「行け!」と叫んでおり、特に(重度のレッズファンの)義父の手前ということもなく「レッズファン」の血が根底に流れているのを自覚した次第。茨木商店街のパブリックビューイングで観ないでよかった。で、ガンバ3得点というシナリオは考えられたものの、考えてみたらガンバ宮本ディフェンスが無失点というのはありえないシナリオで、それでも頼みの綱となるであろうシジクレイがことごとく出し抜かれての前半2失点で試合の興味は薄れる。後半シジクレイ肉離れの間に、宮本が闘莉王に競り負けて折り返されての3点目が今期の浦和と大阪の守備の差を象徴していた。今期浦和は完全に勝つべくして勝った。MVPは闘莉王、次点鈴木啓太の落ち武者ヘアコンビ。バブリーと言われるレッズの中で巨人やレアルとの決定的な違いはこの二人の熱さによって「能力のある人がさぼらない」ことにあるのは間違いない。終盤異常な好調をキープし続けた主将山田もびっくりだけど、この人は駄目なチームの中では駄目になるような気がするな。ていうか優勝のコメントでもう少し気が利いたことを言えないもんかね。
学生時代よく一緒にレッズ戦を観に行った渋谷氏から「ついにこの日が来ましたね」という嬉しいメールが。「あの頃の」レッズを知っている人にとっては「ついに」なんだよね。最近のバブリーレッズしか知らないNHKの若い女子アナは「初」優勝であることに驚いていた。熱いレッズファンは間違いなく浮かれて優勝記念DVDを出すのだろうが、一年目からの(リーグ初得点に喜んでいるうちに点を取られてしまったころからの)軌跡をきちんと収めてバランスを取るべきだと思うのです。
なんだかんだ書きましたが嬉しいです。夕飯の牡蠣ごはんもうまかった。

我が家の新しい精霊チクワマン。テレビの余分な電磁波を吸収します(うそ)。
■12月1日(金)
こんにしわす。
後輩のフジ君とハヤシ君とお好み焼き屋へ行く。ハヤシ君は僕が今まで出会った(それほど多くはないかもしれない)人の中で一番破天荒な人で、話すことがいちいち過剰なまでに劇的で、話を聞いていると「ああ、俺は流した血の数が足りないな」と自信喪失してしまうのだけど、まあとにかくいろんな話をして面白かった。ある日母親が8000万円の借金をして1億円の土地を買い、そこのビル管理会社を設立して社長になっていた、とか、中学生の頃「学級日誌をぼろぼろに破った犯人」として濡れ衣を着せられ、あげく校長から「お前はうそつきだ」と言われたのでその場で校長を殴った、とかあまりに小説的すぎてふつうの小説家が書けないような話が次々に出てくる。ちなみにハヤシ君も自分のお店を作ることが夢であり、間違えなくうちの会社なんかに「いるべきでない」人であり、僕は彼と知り合えてよかったけれど、さっさともっと近道を行けばいいのにと思ってしまうよ。ハヤシ君に出資したい人募集中。ちなみに絶対に言わないで欲しいと言われていたのだけど、自分の奥さんのことを「あの嫁を見つけられて本当に良かった」と申し述べていたことを付け加えておきます。

悩んでいたけどこれ見たら一気にぐらっと来た。wii。誰か買わないかな。

菊とカスミ草とスリッパ
■11月23日(木)
「パビリオン山椒魚」ぎりぎり間に合った。かなりバカ。日本の映画も懐深いね。放射能マークスリッパ手袋がかわいい。(妻の)マイミク笠木さんも出演しています。オダギリジョーに「黙れブス」的なことを連呼されてます。
梅田のロフトのソファー売り場でジャージというかスウェットというか寝間着というかとにかくゆるい格好でボツボツのついたピンクの便所サンダルを履いた女子二人が我が物顔でくつろいでいた。住んでるのか?ロフトに住んでいるのか?
まあどんな格好をしようが自由なんですが、なんか「見たくない権利」が侵害されている気がするよ。周囲に対するリスペクトゼロな感じ。電車内の携帯電話に似てる。でも、街中でウォークマンを聴くというのも軽度のこれなんだよな。
宮沢章夫さんの「考える水、その他の石」をやっと手に入れる。
テレビでDJ OZMAを見るという忍耐力テストに不合格。無理なものは無理。
■11月11日(土)
我「ユリイカ」を発見せり。
なんばのそごうにて。あと、村上春樹訳の「グレート・ギャツビー」と高山なおみさんの「たべる しゃべる」とMDで持っているけど今はMD聴ける環境にないので欲しかったEGO-WRAPPIN'の「His choice of shoes is ill!」も大人買い。あーやっぱかっこいいなあこのCDは。あと月曜から東京出張で久しぶりにスーツを着るので、Yシャツとネクタイも買った。浪費の日。なんか赤っぽいネクタイと薄いストライプか柄の入ったシャツとなんとなく決めていたので、10分くらいで買った。僕は買い物をするときには気に入ったものがあるとあまり他と比較をせずに決めてしまうのだけれど、恭子さんはそこに並んでいる全部の品を確認しないと決めない。まるでコンソメやだしパックの選択に世界の運命がかかっているかのようだ。恭子さんは東急ハンズでタイルを買った。1時間近くなやんでいた。僕はベンチで「グレート・ギャツビー」を読んでいた。
■11月9日(木)
こんにちは。川崎和男ファンの夫です。
言ってることが難しすぎてよく分かんないんだけどね。

「ユリイカ」宮沢章夫さん特集号を探して茨木市駅周辺の本屋を5軒梯子するも見当たらず。最後のお店で「ユリイカ置いてませんか」と店員に訊こうと思ったら、カウンターにいるのが高校生くらいのバイト男子だったので、「ユリイカありませんか」に対して確実に「はっ?」と怪訝な顔をされそうだったので訊くのをやめた。
「考える水、その他の石」も見当たらず。高山なおみさんの本も面白そうだ。

妻に耳をなでられ、「あなた帯電してる。電気基板を触っているようだ」と言われた。耳の後ろをなでるとライトセーバーの音がした。

「三位一体モデル」中沢新一:冷蔵庫開発の場合、「父」はヤマダ電機。
■10月29日(日)
 昨日、奈良に向かう電車の中で欲しいものリストをつける。
 奈良へ行ったのは恭子さんの元同僚のフクイ君においしいお店を紹介してもらうため。奈良の学園前という駅で降りて、フクイ君の車で連れて行ってもらったのは、もうほとんどのテナントがシャッターを下ろしちゃってるかなりの末期症状のビルの2階にある「浪漫」(ロマンと読ませるのだと思います)というお店で、なんかこれだけ書くとわざわざ奈良まで騙されに来たような感じですが、料理はものすごく美味かった。もう、料理とお客さんが好きで好きでしょうがないオーラ全開の大将がカウンター越しに次から次へと絶品料理を解説付きで出してくる。素材も調理法も奇をてらわずにいいものだから料理はまちがいなく美味いのだけど、大将の解説で美味しさ2割増、笑顔で2割増、お弟子さんの堅実な働きぶりに1割増で計150%くらい美味しく感じました。ランチコース5000円もかなりお安く感じてしまいます。なんか料理は味5環境5くらいに思っていたんだけど、環境ってのはただでかい窓があるとか椅子がおしゃれとかそんなんじゃないなと思った次第。ちょっと新境地が開けそう。ありがとうフクイ君。あと、ほんとにちゃんとした料理は満腹感がずっと続きます。そんなに量が多かったわけじゃないのですが夕飯までもう何も食べられませんでした。コーヒーすらいらない。夜は恭子さんが浪漫のまねをしてイサキの刺身をあぶって食べたのですが、全然美味しくありませんでした。

「かなしい」坂田明 Jim O'Rourke
「Most beautiful in the world」Good Dog Happy Men
「SENSUOUS」CORNELIUS
■10月26日(木)
 妻、ニンジン狂い。語尾に「ニンジン」をつけて話している。困った。
■10月9日(月)
 こんにちは。喫茶店でコーヒーを飲みながらジャンプを読んでいたら、いつの間にか買ったばかりのTシャツにコーヒーをこぼしていた上山です。「よくできた」妻がすぐに洗ってくれてしみは落ちました。
「冷血」を読了したので「カポーティ」を観に行く。これ、教養としての「トルーマン・カポーティ」と「冷血」(例えば日本人にとっての「漱石」と「こころ」のような)がないとさっぱり分からないんじゃないでしょうか。主役のフィリップ・シーモア・ホフマンがカポーティにそっくりだそうですが(コージー冨田のタモリくらい?)、その辺も100%楽しめない惜しい感じがしてしまいます。絵作り、犯人の目の演技とかはとてもいいので(最初の控えめな「CAPOTE」のタイトルもカッコいい)観に行く人は是非「冷血」を読んでから行きましょう。
■10月7日(土)
 結婚披露合宿ですてきな絵を飾ってくださった恭子さんの後輩、中内渚さんのイラストがふんだんに使われたスペインのガイドブックが11月に発売になります。上にバナーを載せました。別に僕が特別スペインに行きたいわけではありません。スペインに興味のある方、ラテンな気分の方、フェルナンド・トーレスやセルヒオ・ラモスが好きな面食いの方、是非本屋で手に取ってみてください。サッカー選手は出てこないと思いますが。
 それから渚さんは10/23〜28まで銀座(ああ、銀座!)でコスタリカの絵の個展をするのですが、そのオープニングパーティー(10/23(月)17:30〜)にて恭子さんの料理が振る舞われます。ジャパニーズソウルフードとコスタリカの情熱が熱い交錯を繰り広げるのかどうかはよく分かりませんが、お時間のある方は是非足を運んでみてください。
■10月6日(金)
 映画「カポーティ」を観るために「冷血」を読んで予習。
 いい加減「ハンカチ王子」も卒業だろうということで、新しい呼称を考える叔父の通夜。「ハンカチ太郎」「ハンカチ王」「ハンカチ先生」「ザ・ハンカチ」「ハンカチャー」「ハンカチ星人」「今日のハンカチ」「ハムカツ王子」「ハンカちゃん」「Jハンカチ」「ハンカチ人」
 夜中じゃないと面白くないね。

「さようなら、ギャングたち」 高橋源一郎
「ベケットと「いじめ」」 別役実
「ほえる犬は噛まない」ポン・ジュノ
「かもめ食堂」
Diary(k)
●12月25日(月)

薄いほうじ茶のむこうの回転焼き
●12月21日(木)
 夫の会社の若い人たちの飲み会に出席。ビールを何杯かと五年ものの泡盛を一杯。うーん、飲み過ぎたなあ。人差し指がむくんで曲がらなくなっている。
 私がお手伝いをしている喫茶店は年上の人(団塊の世代くらい)が多いので、若い人と話す貴重な機会であり、楽しかった。同世代の人って言語体系が同じなので、楽なんだよなあ、話すのが。

 喫茶店ではママさんと言葉のコミュニケーションが食い違うことがよくあって、でも、それはもうしょうがないことだと思う。ひとつひとつの言葉の定義が違う気がする。だからどっちかっていうと言葉を使うよりも、目線とか気配とかで動くほうが的確に仕事ができる気がしている。感覚を共有してなかったら、いくら説明してもされても、分からんもんは分からん。

 夫のために、毎日牛乳を買っている。ご飯を食べ終わった後、食卓に残っている牛乳を前にして「私、もう、牛乳をしまい疲れました」と言ったら、次の日から自分でしまってくれるようになった。
●12月2日(土)

ギンナンと薄曇り
●11月27日(月)
 お手伝いをしている喫茶店のママさんが見た夢。聞いたのはもうずいぶん前だけど。
 ママさんがお店のトイレに入ると、正面の壁に私が描いたペン画が掛かっている。ママさんが「あー、恭さんの絵がかざってあるわ」と思って便器を覗くと、中には素晴らしい緑の山々が見える。山道を辿ってずんずん行くと、そこには昔の友達がいた。

 私はこのお店のことが好きだけれど、本当にはなじめていないな、と思う。やっぱり、どこか、外から来た人のような。もちろん、来てからまだ1年くらいだし、常連のお客さんに比べて若いから、というのもあると思うけど。でも、そういうことは、会社にいた頃にも思っていたし、子どもの頃もそうだったような気がする。

 私は、みんながどこか他の所に行きたいときの、通路みたいになれればいいな、と思う。
●11月17日(金)
 英夫さんはくしゃみをするときに、語尾に「パ行」がつく。「ハクションッポッ」とか。私が「くしゃみをするたびに、口から小人が飛び出してるよ」と言うと、「人間が生まれるとき体内に蓄えている小人の数は一定である」と教えられた。「全部いなくなったらどうなるの?」「死」。
●11月14日(火)
 先週買ったごぼうが少し残っていたので、新しく買ったのを足して炒り煮に。古い方のごぼうは、ふにゃふにゃ、すかすか。でも、生のまま少しかじってみたら、古い方が甘かった。甘いけど、甘いだけ、という感じ。新しい方は香りがとても強くて、渋くて、甘さは少なめ。
 おじいさんになって、丸くなった。
 牛肉と糸こんにゃくと一緒に炊いて、英夫さんに好評。

 料理が上手いか下手かということでいえば、下手の側に、いつもいようと思う。
●11月13日(月)
 武蔵浦和の駅のホームで、知らない人にお金を貸したことがある。といっても、百円玉ひとつだけど。
 私はふだん大阪に住んでいるし、返してもらうのは難しい。だから、かまいませんよ、と言ったら、こんど神社かお寺に行ったときにお賽銭しておきます、とのこと。
 知らない人が知らない場所で、私のことを思い出して賽銭箱に百円玉を投げ入れている。
●11月9日(木)
 白いものばかり食べたくなる。
●11月6日(月)
 金沢21世紀美術館に、「川崎和男展」を見に行った。夫が川崎和男さんのファンなので、色々話してくれる。

 東芝のインダストリアル・デザイナーとして出発し、2001年から2003年までの間、グッドデザイン賞の審査委員長をつとめた人。

 20代で事故に遭い、半身不随の車椅子生活になってしまった川崎さんは、「自分の体の中に埋め込まれたボルトの形が気に入らない」と思い、大学に入り直して、医学博士になったそう。川崎さんのデザインした人工臓器は、きれいな形をしている。もし私が本当に人工臓器を使わなければいけないとしたら、やっぱり、きれいな形のものを使いたいと思うんじゃないかな。その方が安心できるような気がするから。

 どうして、きれいな形のものは安心できる、と思うんだろう。

 人工臓器の隣には、樹脂でできたメビウスの輪や、ドーナッツ形や、「クラインの壷」と呼ばれる形(オモテとウラが不思議な繋がり方をしている筒状の形)や、その他いろいろの形が展示されている。それらは、川崎さんの作った心臓や腎臓に、似ている。人間は外皮と内皮が繋がっているから、ドーナッツの形で表されるらしい、と若い説明員の人が言っていた。
 ドーナッツ形は台所用のスポンジたわしにも使われている。「どんな形にもフィットする理想の形」とある。

 川崎さんの心の中には、根源的な形に対する信仰がある。具体的な形を、そこから展開している。
 
 展示会で買ったカタログには、デザインについての46項目のコラムが書かれている。「01 関数としてのデザイン」「02 文学としてのデザイン」・・・などなど。「40 安心としてのデザイン」の、「完全ということはありえない。同様に安全ということもありえない」というのは、とてもよく分かる。この項は、「終点は、「安心としてのデザイン」が、技術へデザインがなしうる制御であるはずだ」で結ばれている。たしかに、「完全」や「安全」は無理でも、「安心」なら可能かもしれない。やっぱり問題は「心」だ。
 
 かたち、とか、ことば、とか、こころ、とか、抽象的な所に降りて行くのが、私は少し怖い。でも、やっぱりそれはぞくぞくするほど魅力的だ。川崎さんはそれをためらわずにとことんまでやった人だ。

 この人は、けんかができて偉いな、と思う。

 金沢は町も建物もおしゃれ。京都と似てるけど、京都よりも人が少ないし、素朴な感じ。きれいな川もあるし。いいところだなー。デザインされたモノたちは、心を上向きにしてくれるところがいいな。
●10月29日(日)
 方法とかルールとか、なんとか主義とか、いろいろあるけれども、別にね、何でもいいんじゃないか、と思った。どこにいるかということよりも、そこに自分の足で立っているかどうかの方が大事だ。
●10月10日(火)
 アマガエルは13年くらい生きるという。
●10月8日(日)
 よっぽど食べたくなければ、菜っ葉のおひたしを作りたくない。作るとき、いやな気持ちになるから。菜っ葉は、ゆでると本当に小さくなってしまう。ゆでた後、冷水につけて絞ると、もっと小さくなる。栄養は水に溶けちゃって、半分くらいになってしまうと聞いたことがある。小さくなってあくも抜けるからたくさん食べられる、だから大丈夫、というのも聞いたことがあるけど、私はそんなのぜんぜん大丈夫じゃない。

 おひたしは、おいしい。ギュッと絞ったほうれん草や白菜に、ごまや鰹節をかけて、おしょうゆをちょっとつけて食べる。口いっぱいにほおばると、甘さがじゅわっと広がる。おしょうゆもいいけど、ポン酢も好き。
 春菊は、白和え。春菊のほろ苦さを、豆腐と砂糖の甘みが引き立てる。菜っ葉じゃないけど、いんげんのごま和えも好き。すり鉢ですった白ごまに、ポン酢か、しょうゆと砂糖で。
 でも、それでも、よっぽど食べたくなければ作らない。

 今お手伝いをしているお店でも、おひたしは作る。それは、あまりいやじゃない。お客さんはママさんの料理を楽しみにしているし、おひたしも喜ばれる。お客さんの喜ぶ顔を見るのは嬉しい。お店では、いろいろな料理を作る。それを少しずつ覚えていって、できることが増えていくのは、楽しい。でも、家でも作りたいと思える料理は、多くはない。

 私は、おひたしも作らない、へんな奥さんです。素敵な奥さんでも、ちゃんとした奥さんでも、明るく優しい奥さんでもないです。大きな声で、そう言いたいと思います。

 そんなことを書いていたら、あー、もうどうしようもなく、おひたし食べたくなっちゃった。

 明日はおひたしです。本気で、おいしいおひたしを作ります。