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「0 1/2計画」「不思議の国とアリス」 「1 1/2計画」「ほんとうにおいしいごはんとおかずのおみせをつくろう。」 スペインへ行きたい!
Diary(h)
■9月27日(水)
 「世の中はカリウムで動いているのです。」
と、中国のお医者さんはいいました。

うそです。そんなことは言いませんでした。中国にてカリウム不足で足が動かなくなったのは本当です。すぐ帰国。以来、集中力に欠け、文章もろくに書けなくて、メールの終わりに「よろしくお願い言い足します」とか、「よろしくお願い足します」とか書いては、やれやれとバックスペースを押していたのですが、最近ちゃんと「よろしくお願いいたします」と打てるようになっていることに気がついて、「あ、回復してる」と実感した次第です。
回復してるよ!

いろいろ書きたいことがあったようななかったような。
ポン・ジュノ監督の怪獣映画「グエムル」が面白かったです。yahoo!の映画レビューでは散々なことになっていますが、この笑いと憂いのバランス感は中学生にはまだ早いので仕方ありません。大学の研究室にいた中国人留学生の姚さんを彷彿とさせる丸顔だぶだぶトレパンを主役に持って来れる韓国映画の懐の深さが羨ましいです。とりあえず今年最高。ジュノ監督の「殺人の追憶」もDVDで観たのですが、どっちもとにかく食べるシーンが印象的でした。なんか落ち着くんよ食べるシーンは。食欲万歳。

記録。思いつくだけ。
「ホテル・ニューハンプシャー」ジョン・アーヴィング
「サイダーハウス・ルール」ジョン・アーヴィング
「明日の記憶」
「MOTHER3」
「狩人と犬、最後の旅」
「NEWスーパーマリオブラザーズ」

「FF4」はクリアできないままカセットがどこかに行ってしまいました。
ごはんのブログも最近更新されているようなので(写真だけですが)、よろしければどうぞ。
■5月8日(月)
 ネット環境復活しました。あ、引っ越しは無事に終わりました。遊びに来て下さいと前回書きましたが、ぜんぜん部屋は片付いていません。食器棚を探しています。あと、引っ越ししてから分かったのだけど、この家の風呂場には電気のスイッチがない。厳密に言うと、風呂場から洗濯機置き場を隔てた所にあるトイレの電気のスイッチと共用になっている。風呂に入ろうとしてはトイレの所までステップバックして電気を付け、風呂に入っている間に妻がトイレを使い終わってうっかり電気を消そうものなら風呂も真っ暗になってしまう。まったくひどい設計だけど、ここまでひどいと笑うしかない。
 連休中に会った人にはお伝えしたのですが、来週から1ヶ月間中国に行くことになりました。1ヶ月はさすがに気が重い。ワールドカップも始まってしまうよ。気晴らしに任天堂のDS liteと「MOTHER3」を買う。「FF4」は未だクリアできず。ラストダンジョンの異常な長さと敵の強さとエンカウント率の高さは何なのだ。
■4月21日(金)
 いよいよ明日引っ越し。今日は休暇を取って片付け、が、まだ終わっていません。まあ、なんとかなるだろうと現在現実逃避中。「MOTHER3」をやるために「FF4」をクリアーしとかないとな。といわけで昭和40年代築のこの素晴らしき社宅とも明日でお別れ。そういえば先先週社宅の庭で会社の人たちと花見バーベキューをしたのだけど、売られて行く土地の桜の木の下での宴は、チェーホフの「桜の園」のようでした。引っ越してから2、3週間はネット繋げません。メールは会社で見れます。引っ越しと言ってもここから徒歩15分くらいしか離れていないので、電話番号も変わりません。そして、流石に今より新しくなるとは言え、昭和57年築のやはり古き良き趣あるマンションです。皆さん是非遊びに来て下さい。
 さあ、ではもうひと頑張りしましょうか。


■4月16日(日)
 ごぶさたです。
 恭子さんが弟子入りしているイーハというお店でランチ。恭子さんが昨日仕込んだ、ちゃんとスパイスから作ったカレーを食べる。ものすごく美味しい。通うね、あれは。イーハでは今似顔絵展をやっていて、4人の似顔絵師の作品が展示されている。そのうちのひとりのいしいたみこさんに夫婦の似顔絵を描いてもらう。30分くらい、いろいろお話をしながら(そうしてこっちのいろんな表情を引き出しているのだ、きっと)描いてもらったのがこちら。

一週間伸ばした無精髭がサッカー選手のようだ。そしてわれわれ夫婦はよく兄妹だと言われるのだけど、やっぱり似ているのだね。ちなみに自分はガンバ大阪の橋本選手と、吉本興行のサバンナというコンビの高橋(という名前だということを今調べて知った)というひとをテレビでみると、ああ俺と鼻の形が似てるなあ、といつも思う。
 家に帰って引っ越し準備。生涯8回目の引っ越し。引っ越し準備のこつは煩悩を断ち切ることにある。というわけでまずプレステ2をしまう。ここまでは良かったのだけど、そのあと本をしまうところで「ハンターハンター」の20巻と入社したころに付けてた日記と「ゴーマニズム宣言」を読んでしまう。なんとか本を片付け終えたら、なんか一区切りついたような気がしてついゲームボーイの「FF4」をやってしまう。煩悩に負けまくり。
■3月25日(土)
 午後、仕事。家に帰って、ブログのバナーを作る。恭子さんになかなか気に入って貰えず何度も作り直す。読みにくいですか?


 バナーの背景の写真は↑これ。のずーっと右上の一角。西荻窪の去年の今頃。

 先週、山田君から一眼レフのカメラを貰った。フィルムがないのでまだ撮っていないけれど、ファインダーを覗くだけでデジカメとは俄然違うことが分かる。明日は滅び行く社宅の勇姿を撮ってみる。晴れろ。
■3月12日(日)
 1 1/2計画のブログをつくりました。ライブドアブログですが。基本的には、恭子さんがつくった日々のごはんのアーカイブ的な役割を担うと思われます。技術の進歩は凄まじいとはいえ、ブログ上の料理を味わうことはまだできませんが、とりあえず、「見られる料理」を意識することで恭子さんの料理の腕前がすこしずつプロに近づくのではないかというはかないもくろみに、どうぞみなさんおつき合い願います。
 
ホテル・ルワンダ」:京都みなみ会館にて。94年のルワンダ内紛時に1200人を救ったホテルマンの実話を元にした映画。恭子さんは2回目の鑑賞。人はそれぞれに狂気を持っていて、その発露を促すのはいとも容易くて、それに目をつぶって黙って利口な振りをすることもできるけど、やっぱり何かをしたいとも思うわけで、でも、隣の人の手を握ることは向こうの誰かを銃で撃つことなのだろうか。分からないけど、僕はいつか恭子さんの料理をみんなに食べてもらって、いろんなことを想像できるだけの滋養を増やしていく仕事をしたいと、そう思ったのです。
■3月8日(水)
こんなページを作ってしまいました。システム化や伝統がいつしか思考停止状態にすり替わるのを私はとても恐れているのです。
■3月5日(日)
 来月中に今の社宅から引っ越すことになり、先週土曜日は新しい家探し。私は畳から、恭子さんは商店街(新鮮な野菜と魚)と地面から離れられない人だということが分かった。引っ越しは4月。また古いところですがどうぞ遊びに来て下さい。
 先週日曜日は、恭子さんに付き添って、辻調理師専門学校(辻調)の一日体験入学へ。おそろしく立派な建物を見た途端に、前にIDC大塚家具へうっかり行ってしまったときと同じ、「あ、お呼びでないですね、私は」感を感じる。なんかすごくブルジョアだよ、ここは。授業の内容はとてもまともで、ちゃんとしたプロの料理人を育ててくれそうな信頼感を感じる。エビチリは美味しかったし。もし恭子さんが18才だったら、通わせることに迷いはないと思う。とりあえず今年の入学は無し。まあ、修行することは他にもいろいろあるのだ。
 ところで全然どうでもいい話なのだけど、昨日とある場所でたまたま雑誌の「女性自身」の先週号と今週号が並んで置いてあるのを見て、この本の表紙のレイアウトが、フォントはもちろん、文字の置き方から、顔写真の大きさからまったくそっくり瓜二つであることにびっくりした。これは手抜きなのか伝統芸なのか。とても完成されたレイアウトとは思えないから、手抜きなんだろうな。

「エリ・エリ・レマ・サバクタニ」青山真治:京都シネマにて。吉沼君大竹君のバンド「好き放題」を彷彿とさせるとても気持ちのいい轟音プロモーション映画。気持ちがいいと轟音でも眠くなるものなんだなぁ。
■2月22日(水)
 サーバー復活。おかえりなさい、4231。上のリンクにいくつかページを追加。あとアーカイブを別のページに分けました。メールの履歴とアドレスはすべて飛んだ。
 先週末は恭子さんの元同僚すずはさんとはやっちが来て、すずはさんの誕生会をした。昼からワインを飲んだ。すずはさんがテレビで知ったという正しいボーリングの投げ方(アイロン掛け投法)を試しにみんなでボーリングに行った。あり得ないスコアがでる。77点。なんか一日いろいろ話していたけど何も覚えてない。

「ディープ・ブルー」:ツタヤでレンタル。海のドキュメンタリー。当たり前のように2回寝た。3回目でちゃんと全部観る。海の底にいる生物は、地上の高等動物よりも遥かに進化が気軽で冒険的だ。なんか7色に光っちゃったりとか足増やしたりとか気まぐれで自由でいい。「おれ、今度こっちにヒレはやしてみたんだけど、どう?」とかやってる感じがする。宇宙に行くより海に潜る方が、生き物についてずっと理解が深まる気もする。
■2月12日(日)
 しばらくnmnのサーバーが落ちている。メールも見れなければ、日記を更新することもできない。復旧の見込みは知れず。私は元気にここにいます。と書いたところで、誰にも届かないかもしれない。隣には妻がいる。
 元気と書いたのはちょっとうそで、先週木曜日、どうにもこうにも風邪だろうこれは、という体調を騙し騙し働いていたのだが、定時過ぎに帰って熱を測ったら38.7℃だった。その日は東京に異動になる先輩の送別会だったが止むなく(病みあり)キャンセルし、寝込む。今は大分回復して、今日はリハビリがてらジャスコまで買い物。
 「ニュー・シネマ・パラダイス」:ずっと前から、観ておきたいと思っているのにツタヤに行く度に何故かその存在を忘れてしまう、そんな作品で、なんか、やっと借りた。で、多分相当期待大だったのが影響してか、正直な感想としてはイマイチでした。単純に編集が「タルイ」気がするし、若い二人に対する爺さんの行動も、「ナシ」なんじゃないかと思ってしまう。これ、シチリア島のことをもっと肌感覚として知らないと、なぜ爺さんがああいうことをするのかが理解できないのだろうな。
 と、これを書いている今、アマゾンのレビューを読んでいたら、なんかこれ劇場版と完全版で全然編集が違うらしい。うちが観たのは完全版なんだけど、上に書いた違和感は完全版固有のものらしい。ああ、なんか失敗したな。先に言ってよそれ、だよな。

 全然関係のない話だけれど、無沙汰の間に私は、アメフトのスーパーボウルをビデオに撮ってまで観てしまう様なにわかアメフトファンになってしまっている。笑いたければ笑うがいいさ。私の中でどのような体調や気分の変化が起きてしまったのか自分でも分析できていない。一人称も「私」になってるし。多分、「30才になった」というのがなんらかの影響を及ぼしている気もするが、定かなことも言えない。浜崎あゆみとかも、もう、(許容という方向で)いいんじゃないの、という心の広いことになってしまっている。ああ、こわい、こわい。
■1月28日(土)
 恭子さんのご家族が兵庫の城崎温泉に旅行に来ていたので、帰りがてらに京都で途中下車してもらって合流し、お食事をする。お土産にカニをいただく。新幹線までちょっと時間があったので錦小路をぶらぶらと。そのまま河原町でお別れし、タワーレコードで湯川潮音を買おうとしたけど、やめて、キャプテンストライダムというバンドのアルバムを買う。その後本屋へ。河原町で本屋といえば丸善だったけれど、こないだつぶれてしまって、次はカラオケ屋になろうとしていた。本屋がカラオケ屋になるというのは知識の破棄と快楽の追求という流れを露骨に象徴していて恐くなる。経済にとってバカの創成は必須だろうけど、ほどほどにな。ブックファーストで宮沢さんの「レンダリングタワー」を探すが見つからない。リリー・フランキーの「東京タワー」はいっぱいあるのにな。まだ出てないのかなとも思い、何か発売日でも書いてあるだろうとパソコン雑誌売り場の「MACPOWER」を立ち読みする(「レンダリングタワー」は「MACPOWER」の宮沢さんの連載をまとめたものです)。今月の宮沢さんのエッセーは大約すると「紙袋はよくない」という論旨だったが、こっちはカニの入った発泡スチロールの箱を持って京都のまちを歩いているのだ。紀伊国屋であっさり見つけ、買って帰る。
「ブッコロリー」キャプテンストライダム:中国から帰る飛行機の機内放送で流れていていい感じだったので。松本隆の風街レーベルのひとたち。若くて、とても気持ちいいです。バカっぽいし。
ランランランスがホームラン 俺小二のときからカープファン(マウンテン・ア・ゴーゴー)だってさ。
■1月23日(月)
 マイブーム。長渕のものまねでさだまさしを歌うことと、さだまさしのものまねで長渕を歌うこと。さだで歌う「乾杯」や「順子」、「Hold Your Last Chance」ははまる。「とんぼ」は駄目。長渕で「案山子」もいい。「関白宣言」は駄目。「とんぼ」のイントロの雰囲気で歌う「北の国から」もいい。みなさんもどうぞ。あと、横でものまねを聞かされる人にとってはかなり「うざい」と思われますので、注意。
■1月21日(土)
 昨夜無事に帰国しました。しかし中国は「日の出の勢い」ですよ、みなさん。新しい工場がどんどん建設されていて、どこもかしこも(というほどいろいろ行ってはいないのですが)巨大化する希望と野心に満ちている。そしてその活力を根底から支えているのが中華料理。味付けも濃く、油をたっぷり使った料理は、うちの普段の料理に近くて、豚だと騙されて食べた蛇の肉とかも、個人的にはとても美味しかったのですが、さっぱりした料理を好むニッポンジンの舌にはあんまり合わないのか、ていうか単純にあきちゃったのだろうけど、先に長いこと中国入りしている会社の人たちは、普通の中国料理の10倍以上もの金を払って日本食を食べに行くのでした。あと、中国人はあれだけ油を採って味の濃いものを食べているのに、太っている人が全然いないし肌つやもいい。これは世のダイエット特集をしている女性雑誌が考えるべき興味ある現象だと思うが如何か。というわけでうちのお店も、たぶん「元気なんかあ、もう、いらないよ」というひとにはおいしくないのだろうな。まあ、とにかく、当たり前すぎて「ああそうですか」としか言えないことを書いてしまうけど、大事なのは「希望」だなあ、ということです。あと「体は食事からしか作られない」。
 ITバブルも早速はじけてる感じだし、無限に広がるネットの世界に比べて、中国の大地の雄大さの何と健全なことか。

空港で買ったパンダ。一番目つきの悪いのを買ってきた。
■1月15日(日)
 床屋へ行ってから宮沢章夫さんのサイン会で京都の大垣書店へ。「相馬の友人の、」と切り出して宮沢さんと二言三言言葉を交わす。「相馬はねえ、あんな奴だけどねえ」「ええ、まあ、あんな奴ですけど」とか。宮沢さんの字は漫画的だなあ。


 明日から一週間中国出張。この日のために魯迅も読んだ。ご飯がおいしいらしいのでお腹のきつくないズボンを買った。あと、新しいスニーカー。あと、「地球の歩き方」とゲームボーイの「ファイナルファンタジー4」。3年履き続けてぼろぼろになったスニーカーをどう供養しようか。
■1月9日(月)
 やっとゴミ出せました。明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
冬休みメモ
12月30日 午後、新幹線で東京へ。大宮の中華料理屋で岩ちゃんと夕食。お店のことについていろいろお話しする。カシューナッツは腰果と書く。夜は大宮の恭子さんの実家へ。妹のヴィダルサスーンで髪はサスーン・クオリティさ。
12月31日 朝、恭子さんのご両親と車で山形のおじいちゃんの家へ。山形は大雪。道で車がすれ違うのも大変な状態。夜はすき焼き。紅白をなんとなく見る。30才になり、演歌のよさが分かった気がする。
1月1日 餅を焦がす。天皇杯はレッズ優勝。重度のレッズサポーターである義父はご満悦。夕暮れの、深く雪が積もった近所の河原を、息を切らせながら恭子さんと黙々と散歩。夜の新幹線で大宮へ。
1月2日 夕方、実家へ。祖母をはじめ父方の親戚が多く来ていた。いとこの子供がもうずいぶん大きくなっていた。お年玉をあげる。祖母からお年玉をもらう。
1月3日 母方の祖母の家へ。兄一家も来てにぎやかに。甥にお年玉としてトミカをあげたけどあまり気に入らなかった模様。相変わらずのアンパンマン狂い。
1月4日 新年試食会。参加者17人。みなさまのご協力をいただき大成功、だったと思います。ありがとうございました。試食会の詳細報告は、現在主婦業を満喫している恭子さんがそのうちすると思います。当日の写真を全然撮れませんでした。写メールでもなんでも撮った方は送っていただけるとうれしいです。
1月5日 昼前まで惰眠をむさぼり、新幹線で関西へ。さよなら、サスーンクオリティ。
1月6日 仕事初め。午前であがり土曜日の小学生気分。いよいよ携帯が寿命っぽいので近所のAUショップへ。夫はグローバルパスポート仕様のこれで妻はかわいくこれの白。妻のはソフトウェアがとてもちゃんとしていて夫ちょっと嫉妬。携帯メールのアドレス変わりました。
飛んで、今日。京都の喫茶店「サラサ」で大盛りのランチを食べ、年賀状を書いたりだらだらと。「キング・コング」を見ようとしたけど時間が合わず見送り。高校サッカーはブラジル式の野洲が優勝。おなかいっぱいすぎて夕食はなし。

「阿Q正伝」魯迅
「かもめ」チェーホフ
「牛乳の作法」宮沢章夫
「お伽草紙」太宰治
 
Diary(k)
●9月20日(水)
 言葉を使わなくても人の心が分かるようになりたいな。
●9月17日(日)
 子どもの頃って、おとなになってからよりもずっと、暴力が身近にあったように思う。先生の独善的なルールとか、いじめとか。
 暴力を受けて我慢しているときは、クリエイティブなことはできない。自分の体力がすり減ってしまわないように、身を守っている。嫌だという気持ちも、なるべく感じないように、鈍くなる。
 でも、いざ暴力から逃れたときに、じゃあ自分の体力を何に使うのか。クリエイティブに心を遊ばせる方法を、もしも何も知らなかったら、結局また誰かの暴力を受けることが、自分にとっての唯一の表現になってしまう。
 暴力は、表現だ。暴力を受けることで、その「誰か」の行き場のない力を受け止める。それによってその「誰か」は、明日も生きていけるようになる。でも、それは本当は最後の手段であるべきものだ。
 そうでない表現を、芸術と呼ぶのだと思う。やさしさも、笑いも、家事も、子どもを育てることも。私の毎日は、その訓練だ。
●9月15日(金)
 最近よく「勢い」のことを考える。生きる勢い。掃除をする勢い。おいしいコーヒーを入れる勢い。
●9月14日(木)
 夫に「髪がハンバーグの匂いがする」と言われた。
●9月13日(水)
 今日はいちにち雨降りだった。
●9月12日(火)
 出始めのりんごを買って食べたら、しゃりん、としていた。本当は、ぱりん、としたりんごが食べたい。あと、緑のすっぱあいみかんが食べたい。
 インターネット上にある「成分解析」という占いをした。
 
 上山恭子の53%は華麗さで出来ています
 上山恭子の31%は言葉で出来ています
 上山恭子の6%はお菓子で出来ています
 上山恭子の5%はミスリルで出来ています
 上山恭子の5%は苦労で出来ています
 
 華麗さ?
●9月11日(月)
 あきらさんの夢を見る。夢の中で、あきらさんは他の二人の男の人と一緒にユニットを組んで音楽活動をしている。それと同時に彼らは三人組のコックでもある。三人のこだわりは、皿を食器棚にしまったまま料理を盛りつけること。そのためにはどんな配置で皿をしまうべきか、を議論している、という夢。
 ああ、今日は9月11日かあ。
●3月5日(日)
 京都シネマで青山真治さんの「エリ・エリ・レマ・サバクタニ」を観る。騒々しくて、ごちゃごちゃしてて、緻密で、激しい強度を持っていて、でもいつの間にか聴いていることを忘れてしまうような、そんな「音」の話。映画を観ている間、私はずっと夢中で今晩つくるスープのことを考えていた。英夫さんは寝ていた。


キャベツとテレビ欄

 あ、いま、横から「寝てないよ」という声が。「寝そうになってただけだよ」だそうです。
●3月4日(土)
 喫茶店「イーハ」の10周年記念イベント、ひと夜だけの山猫亭へ。宮沢賢治にちなんだお料理コンペがあり、出品。絵本や童話って、食べてみたい食べ物の宝庫だ。
 12月の川の中にぼちゃんと落ちてくる「やまなし」。蟹の子ども達にお父さんは、しばらくするとおいしい梨のお酒ができるから、と教える。すごく食べたかった。それを思い出して、梨のリキュールをきかせたゼリーをつくる。木の葉で型どったチョコレートと松の実を浮かべて、冬っぽく。
 あと、「注文の多い料理店」。体にクリームを塗らされ、酸っぱい匂いのする香水をかけさせられ、塩をもみ込まされ、最後には塩もみした菜っ葉と一緒に食べられちゃうという西洋料理店。恐ろしいけど、なんだかおいしそう。食べられてしまいそうになるのは若くて太った二人の猟師。猟師のサラダ、と名前をつけたはいいけど、ほんとの猟師をサラダにしちゃうわけにはいかないので、命からがら逃げ帰った二人が宿で買ったという山鳥にちなんで、蒸し鶏をつくる。クリームチーズとヨーグルトをすり鉢でごりごり混ぜたクリームと、レモンと塩を添える。

 審査員はイーハに集まった20人のお客さん。出品された12個の作品を食べ、味部門、盛りつけ部門の1〜3位を投票する。時間は全部で30分。新田さんの3、2、1、のカウントダウンとともに、わらわらと群がる。私も審査に参加させてもらう。「くろつちのおこわ」という名前の真っ黒なご飯が、とてもおいしかった。黒い色は、半擦りにした黒ごまだそう。あと、融けかかった雪のぽしゃぽしゃしたのを表現したお豆腐の崩したのが、なにか苦くておいしい味がついていた。
 審査委員長は画家の志摩欣哉さん。開票作業をしてみると、投票時間が短かっただけあり、みんな好き勝手な料理名を書いている。「やまなし」にでてくる、クラムボン、という不思議な言葉をとって名付けられた「クラムボンカレー」も、「カニカレー」という身も蓋もない名前で呼ばれてしまう。あと、1位、2位、ときて3位「なし」という人がいて、多分「該当なし」の意なんだろうけど、私の「やまなし」に1票入れてもらってしまった。得をした。開票の結果、味部門1位はカニカレー、じゃなかった、「クラムボンカレー」。やっぱりカレーは強い。盛りつけ部門は新田さんの「注文が多い料理」。食べ方を指示した紙が添えられたおにぎりは、紐をほどき、葉っぱを脱がせ、なかなかおにぎりに到達できない。私の「やまなし」は、味、盛りつけ部門とも、3位に入賞。その上、審査委員長と副委員長の協議の結果、グランプリまでいただいてしまった。賞品として志摩さんの作品のなかから「やまなし」の絵をいただき、ほくほく。

 そのあとは、朗読の会の人たちの宮沢賢治を聴きながら、飲んだり食べたり。志摩さんは朗読の先生もしているのだけど、この人の朗読のときだけ、時間が止まったみたいになった。子どもも食べるのをやめて目をぎらぎらさせていた。この人、すごい人だ。これも、「やまなし」。
 今日は、本当に楽しかった。そして、ウエイトレスとしては全く駄目だった。30分遅刻したし。すずはさんにも来てもらっていたので、しゃべってばかりいた。来週からは、がんばろう。
●2月2日(木)
 「イーハ」でランチの手伝い。おでん、おろし納豆キムチ、そうめんチャンプルー、そばの実スープ、福豆ご飯。
 私の仕事はほとんど皿洗い。でも、ときどきいろいろ頼まれるので、お客さんの注文は耳に入れておいた方がいいと思った。

 今日、コーヒーの入れ方を教わった。こんなに早く教えてもらえるとは思ってなかった。私の入れた初めてのコーヒーは、飲みやすくて、薄かった。オーナーの新田さんが飲んだ。

 お店に押し売りが来た。スーツの若い女の人。電卓と風船膨らまし器を持ってきていた。
●1月30日(月)
 夜、英夫さんが帰ってくるなりバタリと倒れて「何か口に入れて下さい」と言うので、ちらし寿司を丸めて入れたら、大きすぎて入りきらなかった。あと、きんぴらごぼうを一本入れた。
●1月28日(土)
 城崎温泉の帰りに京都に寄った両親、妹と、ランチ。伊勢丹の子供服売り場の一角にある南欧料理屋へ。子供が多かった。メニューに「離乳食」があり、しかも成長段階に合わせて4つのカテゴリーが設けられているのがさすが。
 前後に仕切られたベビーカーから顔を出した双子の赤ん坊に、無心に見つめられた。同じ表情をした二人の人が前後に並んでいるのは、不思議な光景だ。二人は自分たちが同じ表情をしていることを知らない。
 夜は会社の同期が企画してくれた送別会へ。虎竹のお箸とマリメッコのマグカップセットと六花亭のイチゴチョコレートをもらい、14人でスクラムを組んで「ファイトーオー」をやった。
●1月27日(金)
 社宅の会計幹事の仕事。集金した自治会費を郵便局に預けに行く。野口さんの山、夏目さんの山。100円玉は古いのから新しいのまで表情がいろいろ。でも、みんな百円玉。
●1月26日(木)
 商店街で、ついに牡蠣が今年の底値に達する。2盛り490円。これを待っていたのだ。夕飯は牡蠣ご飯とカキフライ。英夫さんの会社の後輩富士くんが来て、一緒に食べた。
 電子レンジに近づけたときのラジオの反応は、AMに限られることが分かった。FMでは全く反応しない。さらに、受信周波数が低いときほど反応は顕著だ。また、電子レンジでは単純な「ピガー」という雑音だったのが、携帯電話の場合は「ト・ト・ト・トト」という感じのリズミカルな音になる。待ち受け画面とアドレス帳画面でも音が異なる。炊飯器、冷蔵庫ではディスプレイ付近のみで反応。
●1月25日(水)
 喫茶店「イーハ」でランチのお手伝い。
 今日のランチは、サバの味噌煮、白菜の煮浸し、ミモザサラダ、粕汁、黒豆ご飯。680円。という貼り紙を書いて、表に貼りに行く。掃除、ランチョンマット、コーヒー豆の詰め替え、新聞の準備。ジュース用のバナナの皮むき、みかんの皮むき。悪くなっているところはとる。オーナーの新田さんに、これはいいですか、だめですか、とひとつひとつきいていたら、「きくな!ビタミンCは手で持ってるとどんどんなくなるんだよ。さっさとやんなさい」と言われる。そこで、迷ったらぽいと一口食べてみる。悪くなっていると、味がない。だんだん見ただけで分かるようになってくる。そうなるまでにずいぶん食べてしまったけど。
 そのあと、ご飯の準備、おかずの盛りつけ。ミモザサラダを作らせてもらう。ゆで卵を刻んで塩こしょうとマヨネーズで和える。「レタスを盛りつけて」と言われ、よくある感じでお皿の周囲にぐるりと敷くと、「飾りじゃないのよ。うちの料理には飾りは無いからね」と言われる。そうか。一口大にちぎって、ふんわりと山にする。こうすると残さず食べてもらえるんだな。その上にミモザサラダを盛る。
 お客さんが増えてきた。いろんな年齢のお客さんたち。新田さんは一人一人といろいろなお話をする。お年寄りも多い。腰の悪い人、体の弱った家族を持つ人、どこそこの誰だれが亡くなった、という話も。死を身近に感じる。平日の住宅街には「働き盛りのサラリーマン」はあまりいないのだな。ここは、私が今までいた世界の裏側だ。

 13時を過ぎると、忙しさも一段落。ひたすら洗い物をしていたときは気付かなかったのだけど、「あなた背が高いから、(作業台が低いと)腰が痛くならない?」と言われ、そういえば、背中から腰にかけてかなり痛い。立ち方を教えてもらう。足を開いて自分の高さを調節し、腰を作業台にくっつける。ああ、ずいぶん楽だ。「そうやって自分の体を守るんだよ」。
 その、「自分の体を守る」という概念を、私は初めて認識したような気がする。もちろん、会社で働いていたときにも、「作業場では安全靴を履く」とか「印刷機の試作機に巻き込まれないようにする」とかは気をつけていたけど、もっと日常的な働き方については、「とにかく今の仕事を〆切までに終わらせる」ことしか考えていなかった気がする。目のこと、腰のこと、体のなかみのバランスのこと、いろいろな変化に気付いてはいたけど、だましだまし使ってきた。でも、ほんとうに一生働きたかったら、体はすり減らないようにしなくちゃいけないんだな。私は、おばあちゃんになっても料理がしたい。だったら、体は、守らなくちゃいけないんだ。
 結局、11時過ぎから14時半くらいまでやらせてもらった。そのあと、私もランチをいただく。やっぱり、おいしい。ここのお料理はいつも本当においしいのだ。お給料はいらないから手伝わせてほしい、というお願いのしかたをしていたので、ランチ代を680円払う。でも、おいしいコーヒーを1杯いれてもらった。

 洗い物をしているときに耳に入ってきたお客さんへのレシピ説明を参考にして、家に帰って黒豆ご飯と白菜のおひたしを作ってみる。おひたしはずいぶんうまくできた。たくさん作ったけど、すぐになくなりそう。粕汁や、サラダに入っていたタマネギのマリネは、舌コピでは無理だなあ。前に西京漬のレシピを聞いたときは、「魚と、味噌と、あといろいろ」ということだった。その「いろいろ」がまるでわからない。

 会社を辞めたことを新田さんに話したのは、先週の土曜日だった。だから、これからは「水木ランチ」食べに行けますよ、という話。そうしたら、新田さんもはじめからここで働いていたのではない、というお話をしてくださった。「製版の仕事をしてたのよ」。すごく驚いた。私は、機械の設計はしていたけど、ユーザーに会うことはほとんどなかった。会ったとしても、社長さんとか専務さんとかで、本当に現場で働いている人と話したことはなかった。でも、新田さんはずっと、私の会社の製品を使って、印刷をするための刷版を作っていた。カメラ撮影からレイアウト、露光、現像まで、全部こなしていたそうだ。このあたりの製版屋さんは、ガラが悪いというか、半分やくざみたいな雰囲気がある、と聞いたことがある。新田さんの押しの強さはそこで培われたのかもしれない。

 そして、そのことを知って、私は嬉しかったのだ。
●1月24日(火)
 朝、中央図書館までジョギング。図書館は閉まっていた。そうか、休館日か火曜は。
 くるりと引き返し、その足で商店街までまた走る。私がよく使っている「魚神」というお店は市場と小売店のあいのこみたいな感じで、ちょっと量は多いけど、安い。あと、お店の人がみんな威勢がいい。かぼちゃが昨日から気になっていたので、1/2個買う。
 買い物を家に置いたあと、近所の喫茶店「イーハ」でお昼。オーナーの新田さんと少し話す。このお店の生い立ちのことを教えてもらった。コーヒーを飲み、帰宅。

 台所に立ち、さっき買ったばかりのかぼちゃの種をくり抜く。
 全部くり抜いてしまってから、半分に切って片方を冷蔵庫へ。もう片方を圧力鍋で蒸す。 まな板の上に残った種を見ているうちに、なんだかおいしそうな気がしてきて、試しに炒ってみる。殻を剥いてみると、あれ?ちょっと予想と違う。よくおつまみのミックスナッツに入っているあの緑の「かぼちゃの種」ではなくて、白く透き通った平べったいのが入っていた。「種を食べる用のかぼちゃ」の種なのだな、緑のは。それで、その白いのをひとつ口に放り込んでみる。おいしい。でも、飲み込んだあと、ちょっと胃に違和感がある。あまり消化が良くないのかも。そこで、剥いたあとのものをさらに炒る。こんどはまた味がだいぶ変わって、香ばしくなった。アーモンドのような風味がある。消化もだいぶ良くなったみたい。残りも全部剥いて、炒ってしまう。かぼちゃと混ぜてマヨネーズで和える。

 残り物のじゃがいもを温めようと思って電子レンジのスイッチを入れたら、レンジの上で聴いていた小型ラジオが突然「ピガー」という異音を発する。その意味が理解でき、思わず後ずさる。ああ、やっぱり出てたんだなあ、電磁波。まあ、「人体への影響がないレベル」なんだろうけど、いや、「無い」ってことはないんだろうな、なんだろう、「(取り返しのつかないような不幸を呼び寄せるほどの)影響はない(と信じられている)レベル」というか、「風が吹いたときに桶屋が儲かるくらいのレベル」というか、そのようなものなんだろう。でも、とりあえず、今そこに現れた音の迫力に圧倒される。これは。こわい。そして、おもしろい。試しにラジオをレンジに近づけたり遠ざけたりしてみる。音の大きさが変わる。レンジのすぐ近くではすごい音がするのに、ちょっと遠ざければ音は小さくなり、1mほど離れるともうほとんど聞こえない。電磁波の強度は距離の2乗に反比例する、という知識を、今ここに体感する。

 夕ごはんは、ロールキャベツの残り、新じゃがとベーコンの塩炒め、ほうれん草としいたけと油揚げのおひたし、かぼちゃサラダ、ごはん。マヨネーズを作っていたら、泡立て器のワイヤーが1本もげた。
●1月23日(月)
 気がつけば、フジテレビの昼のドラマを3つも連続で見ていた。しかも、中途半端に一話だけしか見ていないのに、泣いた。もしかしたら、毎日これだけで過ごせてしまうかもしれない。危ない危ない。「昼ドラ」と「主婦」の相性の良さを実感した。とうとう、この世界に足を踏み入れてしまったか。

 mixiの特徴として、招待された人しか入れない、ということはもちろんあるけど、それに加えて「トップページ」「日記」「おすすめレビュー」などすべてのテンプレートがあらかじめ用意されていることも挙げられると思う。だから、どのページも見た目は同じだ。集合住宅に似ている。
 あと、「足あと」というページがあって、自分のトップページにいつ誰がアクセスしたかを確認することができる。これがかなり大きな要素だと思う。ふつうのインターネット上のサイトだったら、そこにアクセスすることはかなり受動的な行為で、閲覧者は気ままにネットサーフィンをしながらそこにある情報を受け取ったり受け流したりしていればいい。それに対して、mixiの場合はそれが「足あとを残す」というもっと能動的な行為になる。
 ふつうのサイトでもアクセス解析を使えば似たようなことができるんだろうけど、それはあくまでもサイトの管理者が自分の意志でするものであって、閲覧者の意思は関係ない。どちらかというと「こっそり見る」種類のものだと思う。でも、「足あと」機能はmixiにアクセスする際の前提としてそこにある。だから、誰かのページを閲覧することは「その人と繋がろうとする意志」の表現になりえる。そのことに気付かないままいろんな人のページを見ていたので、少し恥ずかしくなった。あまりにもつるりと繋がってしまう。氷のようにつるつるしている。

●1月22日(日)

パンダのいる部屋

●1月21日(土)

ゲームボーイをする夫

●1月20日(金)




●1月19日(木)
 食が細くなってきた。このままではいけないと思い、すずはさんに来てもらって二人で餃子を作って食べ、夜中までしゃべる。
 ほぐれた。で、いろいろわかった。私はやっぱり、動きながらじゃないと考えられないんだなあ。少しずつ、動きやすいところから動いていこうと思う。心が活発に動いていないので、会社で働いていたときは跳べると思っていたハードルが跳べなくなっている。
 申し訳ないと思いつつ、すずはさんをずいぶん長いこと引き止めてしまった。これに懲りずにまた来てください。すずはさんは創作中の漫画の雑誌掲載が決まったそうで、27日までにあげなくてはいけないそう。ちょうど餃子を食べているときにその掲載号と〆切の連絡が入った。うちに泊まっている場合でもないようなので、終電近くになって帰っていった。

 すずはさんに教えてもらった、すごく分かりにくいホームページ。すずはさんは知り合いから勧められて髪を洗うためのインドのハーブを買おうと思い、この「サマサティ」というNPO関係のホームページを訪れたのだけど、あまりの分かりにくさに1ヶ月購入しなかったという。いったいどんなページなんだろうと思って見てみると、まあ、見た目はどうかと思うけど、わりと普通じゃん、という印象を、はじめは持った。ハーブの入った石けんの写真に説明が添えられたものが、何種類か出てくる。スクロールさせながら、それぞれの説明を読んでいく。

 『Shikakai(シカカイ)じゃんぐる』「髪にやさしいマイルドな純植物性石けんベースに、髪に最高 のハーブ・シカカイとヘナがたっぷり・・・」『Amla(アムラ)じゃんぐる』「肌にやさしい 植物素材ベースの純石鹸 に、髪を黒く丈夫にしてコシと艶を与えるインドハーブ・アムラ と、髪をトリートメントする効果がある ナチュラルハーブ・ヘナ がたっぷり・・・」『洗髪用ハイビスカス石鹸 Japa(ジャパ)じゃんぐる』「貴重な価値のあるアユルヴェーダの植物・ジャタマンシのエセンシャル オイルが入った育毛用高級ハーブ石けん・・・」『潤石鹸(うるおいせっけん)』「肌をしっとり洗い上げ、うるおいを与える滑らか高級石鹸・・・」

 だんだんすずはさんの言っている意味が分かってきた。どれを読んでも、最高にいいものだとしか思えないのだけど、どれを買ったらいいのかさっぱり分からない。何か、体系というものが必要なのだ。「じゃんぐるはもういいよ」とすずはさん。さらに下までスクロールさせていくと、「砂漠緑化写真アルバム」が添えられていて、砂漠緑化が素晴らしいことなのは分かるけど、いまはそんなことよりもっと石けんのことを教えてほしい。写真に写っているらしい「アニーシャむらかみとアナディおぶくろとナミート氏とデヴィ」も誰のことだか分からない。
 次に、すずはさんに促されて「よくある質問」をクリックする。短い箇条書きの質問が20項目くらい出てくるのだけど、最初の1項目は、「●コンピュータの動きが遅くなったり止まったりする場合は?」。ものすごく親切だ。続いて白髪やフケに関する質問が並んだあと、今度は唐突に「●連絡メールがサマサティから来ません。」。そして次の項目からは再びハーブの使い方についての質問。そのなかにも、「●化学製品をやめてハーブを使い始めると、ある時点で抜け毛が増える時期があるとのことですが、ごっそり抜けてしまうのでしょうか?」なんていう質問もあって、不安な気持ちにさせる。
 そんなサイトのなかにも時には分かりやすい文章があって、それは購入した人の体験談のひとつであり、すずはさんはそれを読んで『シカカイパウダー』と『シカカイ実』というハーブを買うことに決めたそうだ。私もそのページを見せてもらい、確かにそのハーブに魅力を感じる内容だった。でも、そのページがどこにあったのか、私はもう探し出すことができない。

 そしてすごいのは、すずはさんが購入のボタンを押したあとに届いた確認メールには、そのハーブの使い方が分かりやすく書かれていたことだ。それを購入する前に教えてほしかった、とすずはさんは言っていた。サイトの商品紹介ではハーブの素晴らしさを伝えようとする情熱が高まりすぎて、「よい」という記述に終始してしまうのに対し、購入後のメールはその情熱が程よく冷めて、「まあ、使い方でも書いておくか」という風になるのかもしれない。
 
 すずはさんは最初、その分かりにくいページで買い物をするのに抵抗を感じて、別の小売り業者のページを探したそうだ。それで、「マハラジャ」という、こちらは営利目的の団体が運営するページを見つけたのだけど、こっちも同じくらい分かりにくかった。しかも、分かりにくさの種類が全く一緒だ。それもすごい。

 これがインドの凄みか。
  ●1月18日(水)
 ガスレンジを磨いて、おもちを3つ食べて、お茶を飲んだ。
●1月17日(火)
 昨日に引き続き、サイクリング。今日は、京都市内。
 飲食店で働きたいので、お店をいろいろ見て回っている。いつも使っているお店や、誰かと一緒に行ったことのあるお店、雑誌で見たことのあるお店。でも、私が好きなお店はほとんどが夫婦や友達二人でやっているような小さなお店なので、やとってもらうのは難しそう。うーん、どんなところがいいかな。それにしても、今日は寒かった。芯まで冷えちゃった。お風呂に入って、お味噌汁を食べよう。錦市場で大根の漬け物を一本買う。
 出町柳の駅前に弁天様の神社があるのを見つけて、お参りする。隣にお地蔵さんの小さなお堂。賽銭箱の上に猫がすっぽりはまっている。猫ごと参る。
●1月16日(月)
 早朝、中国に出張に行く英夫さんを関空行きのバス停まで見送る。洗濯などしたあと、折りたたみ自転車を持ち出して茨木界隈をいろいろ走る。そのままJRと近鉄を乗り継いで会社へ。
 会社では、自分のパソコンに残っていたメールなどのデータ整理。私のパソコンはもう他の人が使っていたんだけど、2時間くらい貸してもらって作業をした。私が発注した部品がいくつか来ていたので後任の人に説明を少し。ぽつりぽつり雨が降ってきたので早めに引き揚げ、自転車で駅まで。
 電車のなかで「オテサーネク ー妄想の子供ー」巻末のヤン・シュヴァンクマイエルへのインタビュー記事を読み、リュックの一番奥にしまって電車を降りる。
 改札を出ると雨足はやや強くなっていたけど、あまり寒くない。春の雨の親密な匂いがした。傘をささなかったので、少し濡れた。
●1月15日(日)
 英夫さんと一緒に、京都の大垣書店で催される宮沢章夫さんのサイン会へ。劇場に行くときもそうだけど、宮沢さんご本人を目にするときは、いつもどきどきする。少し並んだあと「『資本論』も読む」にサインをしてもらう。「上山夫妻さんへ」。うれしい。あと、担当編集者の竹村さんとおぼしき人に、「顔が似ている夫婦」として認識されていた。うれしい。
●1月14日(土)
 やすこに招待してもらった「mixi」を閲覧している。

 ログインすると、まずは自分に割り当てられた「トップページ」に入る。画面の左上半分に、自分の写真の欄。私はまだ写真を登録していないので、人型のシルエットだけが掲載されている。そのすぐ下に、「恭子さん(1)」の文字。左下半分には、「マイミクシィ一覧」。一覧には、やすこの写真だけがあり、あとは空欄。写真の下には「やすこさん(20)」の文字。これはやすこがハタチという意味ではなく、やすこが登録しているマイミクシィの人数が20人、ということなのだと思う。

 画面の右半分には「最新情報」。やすこの日記が更新されていることが載っている。いつもは大抵ここをクリックして日記のページにとぶんだけど、今日はやすこの写真のほうをクリック。すると、やすこのトップページが現れる。

 トップページの左上には、やすこの写真。左下には、「彼女のミクシィ一覧」。20人の人たちのうちの何人かの写真が並んでいる。私のトップページでは「最新情報」だった画面右側にはやすこの「プロフィール」。名前、住所などの欄があって、自己紹介の欄は自由記述。ひととおり目を通した後、試しに、20人のうちのひとりの写真をクリックしてみる。

 やすこの知り合いであろう誰かのトップページへ。「プロフィール」を読んでみる。そのあと、その人の「ミクシィ一覧」をクリック。

 知らない誰かのトップページへ。「ミクシィ一覧」をクリック。トップページへ。「ミクシィ一覧」をクリック。トップページへ。「ミクシィ一覧」をクリック。トップページへ。「ミクシィ一覧」をクリック。トップページへ。

 酔った。
 この感じ、何かに似てるなあ、と思ったら、これだ。

 いや、もっと正しいmixiの楽しみ方があるんだと思うんだけど。
  ●1月13日(金)
 朝、なんだか走りたくなり、会社に行く英夫さんの自転車にくっついて1kmほど。走るのは、好きだ。幸福な気分になる。途中で別れ、中央図書館まであと500m。
 中央図書館で少しぶらぶらする。キルトの本、調理師免許の本など。
 夜は、英夫さんとその後輩の富士くんが新年会をするというので、ちょっと参加させてもらう。サッカー好きの二人が、サッカーの魅力を解説してくれた。すごい人の、すごいプレーを目撃することの希少価値や、チームワーク、ドラマ、勝つこと、あるいは組織の縮図としてのサッカーチームについて。
●1月12日(木)
 平日に家にいると楽なことの一つは、食料品や消耗品の買いだめをしなくてすむこと。必要なときに必要なものだけを買う。と、油断していたら、今日は米屋の定休日だった。もう米が一合の半分くらいしかない。残りご飯だけでは少し足りなかったので、お昼はじゃが芋をふかして食べた。夜はキムチ鍋うどん。



 赤羽さんの日記が再開(仮)されて嬉しい。
●1月11日(水)
 寝たり起きたりしながら、朝からずっと宮沢章夫さんの「牛乳の作法」を読んでいた。
 昼の三時頃に起き出して、ハローワークへ。徒歩5分。
 夜は会社の送別会。異動前の事業所の人たちと。以前に会社を辞める理由を訊かれたときには「ひとことで言うのは難しいです」としか説明できなかったのだけど、今日は「辞めた理由BEST3は?」と訊かれて、これはわりと答えやすかった。
 一つ目と三つ目は、仕事のこと。二つ目は「結婚披露合宿」のこと。
  ●1月10日(火)
 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
 年賀状をやっと書き終わって、茨木の郵便局に出しに行きました。ついでに通帳記入など。あと、「アリス」のための段ボールリサイクルパッケージをまた2つ作ったので、あきらさんとみえさん宛に送りました。普通の郵便とゆうパックのどちらにしたらよいのか分からないので窓口の人に訊いてみると、軽いので普通の郵便でも大丈夫とのこと。サイズが大きいので不定形になるそうですが。ゆうパックにした場合は万一紛失したときに補償がつくとのことで、つまり、弁償してもらえるそうなのですが、段ボールパッケージの場合、何しろただの段ボールなので、弁償するほうも困るだろうなあ、と思って、普通の郵便にしてもらいました。
 「ごみと区別がつかないもののためにものすごい情熱を燃やしている自分」を発見しました。そうだったのか。
 明日はハローワークに行かなくちゃ。


お昼ごはん

 携帯電話の充電池がどうにも駄目になってきたので、新しいのを買いました。前に使っていたものがあんまり良くなかったというのもあるのですが、今回買ったauの電話のアプリケーションが使いやすくて、びっくりしました。メールを書いているときの漢字変換がすごいです。「じっ」まで打つともう「実家」という選択肢が現れます。「実家で」まで打つと次は「のんびり」が出てくるのです。お正月は実家でのんびりしました。誘導されます。